ウクライナ戦争の解決のためには国連改革の必要である。

<安保理改革提案>

岸田首相は、3月14日の国会で、国連の安全保障理事会に関し、新たな国際秩序の枠組みの必要性を示しているとして、国連改革に取り組む意欲示しました。国連は、1945年2月、ウクライナのクリミヤ半島のヤルタでの会談で始まった。クリミヤ半島はウクライナの領土であり、ロシア人の過半数を占める地域で、2014年のロシアの侵攻後ロシアの領有支配が行われ、今回のウクライナ戦争の発火点だともいえる。

過去、安全保障理事会は拒否権の発動などで十分な戦争抑止の機能を果たせていない側面がある。日本が国連改革を提案することは非常に意義深いことだと言えると思う。国連が、安全保障を積極的な役割を果たすべく提案すべきだと思われる。

<ウクライナ戦争の和平合意>

今回のウクライナへのロシア軍侵攻に関しても、ロシアとウクライナの和平交渉は進まない。トルコの仲介などでの話し合いはみられるが、ロシアとウクライナの二国間の交渉になっている。そして両国の隔たりが大きすぎる。国連が仲介した提案がなされねばならないが、和平合意のための提案の準備作業を行う国連機関が存在しない。現時点では、国連事務総長の提案という形しかありえないが、今のグテレス事務総長は何の行動も起こしていない。1956年のハンガリー動乱の時は、当時のハマーショルド事務総長がソビエト連邦の勝利の後、調査委員会を編成したが、その提案はソ連に拒絶されている。しかし当時は国連の調停に向けた行動もとられていたと言えるが、現在の国連は後退してしまっているように見える。今回のウクライナ紛争では国連は動いていない。さらに、安全保障理事会は、まったく機能できない現状である。

安全保障理事会はこれまでの歴史の中で、まったくといっていいほど機能してこなかった。常任理事国の拒否権が絶えず発動されて、戦争への道を世界は歩んできた。世界が戦争を回避するためには、安保理改革が必要である。

ウクライナ紛争に関してもこれまで「ブタペスト覚書」や「ミンスク合意」が結ばれているが、それらは順守されていない。ミンスク合意はゼレンスキー政権が破ったことにロシアが抗議している。ブタペスト合意に関しては、ゼレンスキー大統領は守られないことに不服を感じ、この覚書はほとんど意味がないと発言している。ブタペスト合意はウクライナ、ベラルーシ、カザフスタンの核兵器の放棄とその代わりにアメリカ、ロシア、イギリスがウクライナをはじめとするこれら三国の安全を保障するというものであったが、今回アメリカもイギリスもこれを無視しており、ロシアは戦争当事国となっている。アメリカは、この覚書は条約ではないからということと、核戦争や第三次世界大戦の危険性を回避するため順守していない。このような情勢を見る時、紛争に対する国連の関与が不十分と言わざるを得ない。

今回のウクライナ紛争で重要なことは、いかに和平に至るかということである。国連は非難決議で、ロシアに圧力をかけた。この圧力で武力による正義に対して経済制裁で対応しようとしている。141ヵ国が賛成した。しかし、重要なことは戦争を終わらせることである。国連は戦争を終わらせるための和平合意の提案・成立にまず力を入れるべきである。しかし、そのための手段を国連は持たない。

 国連のウクライナ戦争解決のため平和実現のシステム構築にはいくつかの必要なことがある。1.国家の規定を明確にして、ドネツク州、ルガンスク州の一部地域の独立を審査する委員会を作ること。クリミヤ半島の独立に関する審査委員会を作ること。2.国家創設規定を国連が明確にして国家未承認地域を解消すること。3.和平合意に基づいた治安維持部隊を国連軍という形で編成し、ウクライナの紛争地域と国家全体の治安にあたること。4.国連憲章の「地域取決め」の改定調査委員会の設立。その委員会は軍事同盟の規制、NATOに関する取り決めを国連の場で行うこと。である。この4つの委員会、組織によって平和をまず実現し、多くの人々の戦争に巻き込まれることを防ぐことができる。

 <国連改革への道と国連改革の必要性>

 安保理改革は、安保理や総会の決議で進めることは不可能ではないだろうか。むしろ、新しい何らかの規定が必要である。そのための一歩をウクライナの平和の実現を通して、日程に上らせるというのが安保理改革、国連改革につながり政界の平和・戦争廃絶への歩みを進めるのに、道を開くことができると思われる。 現在、国連やウクライナに関する日本の外交政策は、アメリカとその同盟諸国に歩調を合わせている。NATO加盟国は今回のウクライナ戦争の当事国である。和平合意に参与する義務があるはずである。日本も日米安全保障条約を通じてアメリカの同盟国に属しているのであるが、同時に国連に関して提案すること、世界の諸国に解決の道を提案するという積極的行動をとることはできる。

 現在の世界情勢は二面性を持っている。一方では、軍事的危機が大きくなり、他方では経済的協力が重要になっている。台湾海峡問題、南沙諸島問題、北朝鮮の核兵器開発など、世界の危険性は増大している一方、経済はグローバルなサプライチェーンなどで、協力を迫られている状況である。世界の平和な秩序を構築することが唯一の人類の発展の道である。日本からの積極的な提案が日本人として政権に要望すべき時ではないだろうか。もはや今回のウクライナ戦争の危険性は、当事者国を超えた世界の軍事秩序に影響してゆく可能性が強いことにより、人々の注目を集めることとなっている。やがて日本も危機に巻き込まれる可能性も大きい。

 現在の国連では、いくつかの点で不可能なことが多い。1)国連ウクライナ緊急軍を出動することができない。2)ウクライナ治安維持活動の部隊を編成することができない。3)国連への核兵器の管理の移行はできない。これらは世界平和のシステムの構築に必要な改革である。これらを検討すべきである。

 世界各国は、自国の安全保障、防衛といった政策を打ち出している。このような政策は、世界全体という視野から見る時、世界平和に逆行する結果をもたらすことになる。世界の各国は、自国防衛という関心枠を一歩踏み出し、真の平和のシステム構築に一歩踏み出すべき時である。積極的な和平提案をすることのみが真の平和につながる。世界の平和なシステムの構築に向けた国連改革が必要である。そのための原案を日本から提示することで改革に向けた下地を作っていけるのではないだろうか。いずれ世界組織としての国連の生まれ変わりにつなげたいものである。

 安全保障理事会の改革は、ウクライナ紛争の解決の中で進めることが世界平和のシステム構築につながり、ウクライナ問題の解決の最良の道でもある。 ロシアとウクライナの戦争の影響から多くの世界の危機が生まれている。1.世界は、経済的混乱と分断がもたらされている。2.核兵器の使用の問題、原子力発電所の危険性がある。3.世界各国の軍事費増強と軍事化の流れが起こっている。4.外交の力を強化することで、世界の軍事同盟ブロック化が起こっている。5.紛争地域の軍事化と新たな紛争の可能性にまつわる対立、領土問題の利害対立、民族問題の未解決からくる対立、人権問題がある。

これらの危険性が増大する世界ができてしまっている。世界は大きな危険性に突入し始めている。影響は長引きそうである。国連の即座の行動によって影響を最小限化することで世界は救われる。国連の目指すべきは、戦争をしないこと、世界各国の安全確保を行うことで、国連の機能が不十分、不整合、無力のために、刻々の軍需威力と外交にほとんどすべてのことが委ねられてしまって、平和が実現させることとは反対の「不幸」に進もうとしている。その行きつく先にあるのは、世界戦争や、核の使用といった悲劇となるのではないだろうか。

 世界各国は外交に力を入れている。軍事力に力を入れている。NATO加盟、新たな軍事同盟の創設などの軍事同盟への関心を強めている。経済制裁という圧力、武器供与、さらに義勇兵と傭兵といった事態になっている。世界がウクライナを助けるということが民主主義と混同して、高校生から知識人に至るまで、多くの市民にウクライナを助けるという声が上がっている。しかし、武器を支援し、企業や人々が制裁に協力し、ロシアに圧力をかけることが、重要なことであるのではなく、戦争をしないようなシステムを構築することが望まれることである。

 

<新しい世界平和のシステムとしての国連改革>

 戦争をなくすことの世界的なシステムの構築には、安保理改革、国連の全体的な改革が必要になる。国連の制度の中で、常任理事国制度自体を見直すべき時ではないだろうか。国連の機能の充実がない限り、核兵器の管理や武器製造・武器輸出の管理といった問題は解決できない。世界の平和は国家間の外交では実現できない。世界の軍隊への国連軍縮局の関与、平和維持局の活動の拡大。国家創設規定の委員会設立、紛争快活のためのシステムの構築などを含む国連改革が必要である。場合によっては、国連憲章の改定を伴うことになる。安保理改革の方向性は、紛争処理能力を持つことである。

国連は和平提案局を設置する必要がある。新しい方法が必要である。和平合意の提案である。恒久的な条約ではなく、いくつかの条約や取決めを行うための提案を出すことである。そのための案の作成を担当する部局を編成する必要がある。和平提案局ができれば、今回のウクライナ和平合意への道を恒久的なシステム構築につなげる役割を和平提案局で構築すべきである。ウクライナ戦争のみならず、多くの世界の紛争の解決に国連は寄与するべき時期に来ている。

国連制裁の取り決めにも新しい規約が必要である。制裁よりも和平提案をする部局を充実させる方向が重要だと思われる。経済制裁、外交制裁、軍事制裁を国連の能力として持っておく必要はある。しかし、それを安保理で行うこと、総会で行うことには無理がある。新しい決定システムが必要である。さらに、懲罰するのではなく、紛争を平和的に解決することを目的とすべきである。

 

 世界は軍事化してしまっている。軍事化を排除する活動が国連の主たる活動であるべきであり、核保有、武器産業と武器輸出の管理、領土問題などの調停委員会もしくは部局の創設、国家創設の規定委員会と部局、軍縮局の拡充、治安維持活動局の活動、などができる時、そもそも制裁が不必要になる可能性は高い。そのための国連改革でなければならない。

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