企業・市民の国連参加案  メールマガジン 7号

国連改革 NGO 卵の会 メールマガジン  第7号   2022.12.1

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国連は、国家の集まりである。しかし、企業や市民社会の国連関与が求められる時代が来ている。その可能性と枠組みを検討したい。

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*今回第7号は<企業・市民の国連参加案>というテーマです。

■世界の現状とニュース ◆テーマの解説・考察 ◇歴史的考察 ❖卵の会の主張

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■ヘッジファンドのエリオット(運用資産、約8兆円)は、世界経済が金融危機へ突入すると予測している。世界は危機に直面している。世界の株式は今年になって28兆㌦(約4000兆円)減少した。債券価格も下落し、投資家にとって資金を逃避する場所がほとんど見当たらない。この危機を招いたのは中央銀行の政策当局者にあると考えられる。シムズ理論など、いくつかの経済理論も財政赤字や国債の大量発行を肯定する主張おこなわれ、後押ししていると言えそうである。世界は、ハイパーインフレに向かい、貧困の蔓延が内乱や国際紛争を多発させる可能性も大きい。

 更に背景には、新型コロナの流行とウクライナ戦争があった。世界経済の分断をどの国も助長する方向の政策をとっている。国家は自国の安全保障と軍事費増強の方向である。和平を考えている外交をとる国は皆無である。国連は機能不全に陥り、企業は自社の防衛のみを考えている。

 国家は、和平案の方向に動くべきである。国連の場では、拒否権が発動されないウクライナ戦争の和平案を進めることもできるはずである。企業は分断を乗り越える連帯に動くべきである。

■中国では、ゼロコロナ政策のため火事に際しウイグル人10人が見殺しにされたことをきっかけに、ゼロコロナ政策反対に始まり、言論の封じ込めへの批判のデモが、広がっている。さらに、共産党政権の否定から習近平政権の転覆の主張につながっている。1989年の天安門事件になぞらえる論調はあるが、事態はさらに深く社会の矛盾に根差しているのでないだろうか。共産党の国家体制に代わる新しい中国の体制を求める案を提供しておく必要があるのではないだろうか。多くの中国の人々はそれを求めるようになっていく可能性がある。

 1991年のソビエト連邦の崩壊は、共産党の崩壊に始まり、多くの民族戦争を生み出した。超大国の崩壊の割には、犠牲は少なかったという声もあるが、タジキスタン、チェチェン、アルメニアとアゼルバイジャンの戦争など数えればきりがないほどの戦争が起こっている。そして、今年のウクライナ戦争もウクライナのこれまでの迷走をみるとき、ソビエト崩壊に起因しているともいえる。中国共産党が崩壊するような事態では、ソ連崩壊よりもさらに大きな戦争状態を生み出しかねない。ゴルバチョフのごとき指導者が登場しても、戦争が避けられるとは限らない。むしろ、14億の大国には巨大な対立が燻っている。国連改革で紛争を解決し、和平に導く対処のシステムを構築しておく必要があるのではないだろうか。

◆ <企業の国連参加の意義> 企業が国連に参加することには、二つの大きな意義がある。 一つは、軍縮を進める道につながる可能性がある。軍縮を進められるのは「市民社会的原理」である。国家にはできない。市民社会は非武装を本質とする。企業はその市民社会の中で、力を持つ存在である。

もう一つは国家の対立や戦争を食い止める道につながることができる。戦争や国家間の対立は企業の基盤を喪失させるものである。平和を実現する国連の動きが企業の本質的に利益になる。食糧危機、エネルギー危機、経済の分断、インフレなどは、戦争を和平にもたらすことでしか、根本的な解決はできない。そのための協力を企業は望むはずである。

企業努力の一部と資金の一部を拠出することで、大きな利益と企業社会の発展がもたらされる。アマゾン・ドット・コムのジェフ・ベゾス氏は、1240億㌦(約17兆6000億円)の個人資産の大半を寄付する意向であるという。その一部が世界の安全保障、戦争廃絶への一歩を進めること進められることを望みたいものである。そのような資本の動きが広がっていく可能性があるのではないだろうか。

◇歴史  かつて財閥・独占資本は国家と結びつき、植民地支配を進め、帝国主義戦争の原因を作った。1890年代から第二次世界大戦まで、帝国間の戦争となり、軍事同盟が戦争を拡大させていった。企業が、国家と結びつく時、戦争が生まれる。企業が市民社会と結びつき、戦争廃絶に動けるだろうか。アメリカの産軍複合体制は、世界中を戦争の舞台にしている。産軍複合体制、武器輸出、軍事同盟、核保有といった事柄に、メスを入れていくことは戦争廃絶を目指す国連の不可欠な作業となる。

◆ <国連メンバーに市民・企業の枠を設ける> 市民社会は、非武装を原則とし、国家は軍事的機能を本質的要素としている。市民社会の非武装製の本質を国連の場に反映することが安全保障を有効に進めることになる。

国連の原則は、国家が構成員であること、国家間の平等、多国間主義ということにある。しかし、今、その国連が機能停止を起こしている。国連を改革すべき時が来ている。国家の平等という原則は、列強の世界支配に対する反省からきている。国連の構成員となるべき国家の規定を作り直すこと、企業を国連活動の部署を設けることで、国連のメンバーに組み入れること、市民代表を国連メンバーに入れることが検討されるべきではないだろうか。その時、世界市民社会に基づいた国際連合が構築されることになる。

国家と並んで、市民・企業枠とたとえ10%でも加えることで、市民の意思が国連に反映させることができるのではないだろうか。市民社会という非軍事的な要素を持った国連の形成を可能にする。90%を国家が構成しても、そこに市民枠、企業枠を設けて発言力と運営権限を与えることで、安全保障や治安維持、軍縮などが積極的に進められる可能性がある。企業活動が戦争状態によって中断、停止させられる現状を見る時、企業の平和への積極的かかわりが理にかなっているように思われる。非武装は経済活動と不可分である。 企業の国連参加で、拠出金の問題が解決される。国連の安全保障の役割が大きくなる時、費用が増大する可能性がある。拠出金の負担が、治安維持活動を控えさせることもある。軍縮、治安維持、平和への努力が進むための費用に企業の協力が大きな力となりえる。

 

❖ <まず、ウクライナ和平への提案>  経済危機を招いているとされるウクライナ戦争に対し、企業はその終結を望むはずである。和平への道を開く力が企業にはある。それは政府の考慮すべきことであるが、企業が政府に圧力をかけることはできる。それが世界の平和につながる。

 企業と市民の声 ⇒ 日本政府への要望  ⇒ 日本政府から国連安保理への和平案の提起 という道筋である。

和平案の要点は  ・安保理でロシア・中国が拒否権を発動しないような案であること  ・即時停戦に結びつくこと

❖ 上の動きが実現すれは、市民・企業の国連への動きに道を開くことにつながる。 「企業代表も市民代表もそれぞれの地域の中で支援協議会を設定し、民主的な運営体制を構築する。」という準備を始めてもいいのではないだろうか。

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