改革の項目

国連改革 NGO 卵の会 メールマガジン  第11号   2022.12.29

年末特別版:国連改革の項目

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世界の傾向は、和平より軍備強化、軍縮より抑止力、平和のための外交より戦争に備える、というものになっている。このような発想を、ひっくり返さないと悲惨な状況が待っている。

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*今回第11号は、本年最後のメールマガジンです。卵の会の国連改革の要点をまとめておきたいと思います。

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❖国連の目標は、平和をもたらすことである。しかし、現実には、世界中に戦争が絶えない。国連は失敗しているといっていい。失敗の原因を解明し、改革が必要だ。改革案を提起して、戦争のない地球を実現するよう人々の声を集めたいと思います。賛同する人を集め、大きな声にしたいと思います。

Ⅰ 今、必要な国連改革の提案

◆ 1 日本の外交の方針転換 日本は来年度G7の議長国となる。国連に対しても常任理事国ではなくとも提案できるだけの国力を持っている。その日本が西側諸国の結束を固め、ロシア制裁を強め、軍事力強化・防衛予算を年10兆円以上にすることで、世界平和に貢献できるだろうか。否である。対立を強めること、ブロックを強化することは世界の分断を生み、戦争の可能性を増大させるだけである。外交方針の方向転換が重要である。日本がウクライナになることを避けることが、日本の平和への道である。 国連を中心とした世界のすべての国との協調路線をとるべきである。後の10項目はその具体的方策である。

◆ 2 ウクライナ和平調停

 ウクライナの和平はすぐにでも実現できる。日本政府が国連に提案することででもできる。それが世界の経済の分断を終わらせ、企業活動、市民生活など安定した平穏な生活を取り戻すことができる。ウクライナ戦争の和平案は、ロシアが拒否権を発動しない内容で、安保理決議で実現できる。是非、日本政府には、そのような動きをしてもらいたい。人々の声を集めて政府に陳情しましょう。(案は別紙に)

 

◆ 3 治安維持活動PKOの改革

PKOは国連の重要な活動である。そして今の世界情勢の中で、新しいPKOの任務が必要になってきている。主に、治安維持国の積極的な調査活動が行われることで、世界の平和への道の出発点となる。国連は当事国審査を行い、当事者の民族、地域勢力と広く検討会を構成するべきである。また、いくつかの改良も必要である。PKO軍の現地にある程度の武力行使の権限を認めることで、現地の当事者の殺害を防ぐことも重要である。当事国の武力勢力を停戦に従わせる強力な手法が必要である。 これらのことを実現するためには、PKOの強化が必要である。

◆ 4 国家創設規定 武力による国家創造の歴史から抜け出し、武力を使用しない国家創造の道を開くためには、「国家」の要件の明確化が必要である。国家承認はその上に合理的にされなければならない。未承認国家に国家的な秩序をもたらし、ゲリラの戦闘、クーデターが頻発している地域の秩序を打ち立てていく使命を国連が担うべき時である。独立を望んでいる民族状況が多くある。その国家認定の調査委員会を国連は創設し、調停審査を行う必要がある。

◆ 5 領土問題の解決の原則

戦争の原因は領土問題にあることが多い。国家の領土を、国連登録してそれを国連軍が保障するということが戦争をなくす道である。国連の委員会で領土問題の確認をして、戦争を未然に防ぐ対策が望まれる。次に、各領土問題の解決のための委員会を創設する必要がある。領土問題の解決の手続きを作る必要がある。

Ⅱ 戦争廃絶に向けた世界づくりのための案

◆ 6 国連安保条約

国連憲章の第8章の「地域取決め」にのっとった軍事同盟というスタイルを廃棄し、国連が、直接、安全保障にかかわる道が、世界から戦争をなくする方向につながると思われる。地域取決めに基づく安全保障は、軍事同盟国どうしの対立を生み世界を戦争に巻き込む可能性がある。軍事同盟の廃棄を目指した検討が必要である。

国連と結ぶ安全保障は、各国家の安全を保障することができる。国連は国家的利益を代表せず、世界平和を目指す機関であるからである。例えば、「国連日本安全保障条約」を作成するとき、すべての兵器・兵士・防衛費などの10%を国連お提供するということが第一要件である。兵器が削減されても、国家の90%の戦力は持ち得るだけではなく、国連軍との共同防衛ができる。自衛・国防はその中で可能である。第二に、国連に軍備の10%を移譲すると国連との間に、国連安保条約を締結するということが実現できる。そのことで、条約を結んだ国は国連軍との共同安保が可能になり、共同の国防体制を築くことになる。自衛隊と国連軍の共同日本防衛体制である。

 次の段階として、軍備縮小につなげていくことが、地上に平和をもたらす道である。世界の国々が国連との安全保障を結ぶようにすることで、国連軍が強力なものとなるように、日本も外交的努力を行う。そこには国家間の対立が後方に退いてゆくことになる。

◆ 7 軍縮10%案

国連の機能の中で戦争廃絶に関し決定的な役割を担うべき部局がある。軍縮局である。軍縮局の活動を大きくする必要がある。現在の軍縮局は核軍縮のみを扱っている。今後は核軍縮のみならず、通常兵器や軍備全般の軍縮を進めることが人類全体の安全保障につながる。さらに武器輸出、サイバー戦略、宇宙戦争に関しても軍縮局の管理ということが重要である。

*国連安全保障条約に関連し、10%の国連軍への拠出とともに、10%の軍縮条約を提起したい。

・10%移譲案

・国連安全保障条約

の二つの条約が国連軍の設立も絡んで、国連の支柱となってゆく。

◆ 8 国連常備軍の創設

紛争・戦争の調停で和平の条約を締結した時、当事国に履行を促すだけでは、紛争の再来につながりかねない。紛争調停においても、国境紛争においても、核兵器削減条約に関しても、その履行を国連監視のもとに実現することが肝要である。その時、国連治安維持部隊の編成では、当事国や利害関係国などに拠出金を求めまた軍の編成も偏った編成がなされてきた。中心となるべき参謀本部も分裂状態で指揮系統を持ったことは多くの場合の現実であった。統一した指揮系統、輸送や後方支援体制など、中心となる機能が必要である。そのためには国連常備軍が不可欠である。国連は設立当初の意図から逸脱し、国連軍をきちっと設立できなかったところに、多くの戦争を繰り返し許してきた原因がある。

◆ 9 市民社会に根差す改革

市民社会は、非武装を原則とし、国家は軍事的機能を本質的要素としている。市民社会の非武装製の本質を国連の場に反映することが安全保障を有効に進めることになる。

国連の原則は、国家が構成員であること、国家間の平等、多国間主義ということにある。市民代表を国連メンバーに入れることが検討されるべきではないだろうか。企業の国連参加の意義は、軍縮を進める道につながる。また、国家の対立や戦争を食い止める道につながることができる。平和を実現する国連の動きが企業の本質的に利益になる。食糧危機、エネルギー危機、経済の分断、インフレなどは、戦争を和平にもたらすことでしか、根本的な解決はできない。そのための協力を市民や企業の参加の道を考えるべきではないだろうか。

◆ 10 国連の二分割案

国連機能を、2つに分割することを提案したい。一つは、軍事、外交、人権の分野である。もう一つは、それ以外の、経済、環境、保険、労働、教育などの分野である。

第一分野を取り扱うのが、ジュネーブ事務局で、外交、軍縮、人権をこれまで通り行う。ウィーン事務局とナイロビ事務局は、第二分野に属する。 国連はこの第二分野が人員予算とも多くを占めている。国連の役割は第一に安全保障、戦争をなくすことにあるはずである。第一分野(安全保障)の拡充が、人類の生命線に関わる。

◆ 11 安全保障理事会・総会・事務総長制度の改革

これまで述べた国連の改革が必要である。それ以外にも国連は多くの改革が必要である。国連憲章も現在の実情を反映したものに改訂する必要がある。敵国条項の廃止、地域的取り決めの規定の改訂もしくは廃止、PKOや軍縮の明確化など。総会の在り方も変更する必要がある。安保理は機能不全を起こしている。事務局長のカバーする範囲が大きすぎる。国連職員や事務局など構成の仕方を根本的に変える検討が必要であると思われる。

 

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【卵の会 活動ニュース】

❖このメルマガで、国連改革の「項目」を出しました。年明けに、その説明を含めた「要旨」をお届けしたいと思います。もう少し詳しく説明した「概要」も書いています。概要は卵の会の会員と希望者に配布したいと思います。

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