国家創設案

国連改革 NGO 卵の会 メールマガジン  第6号   2022.11.24

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無秩序が覆っている地域がある。戦争をして、国家が危機に瀕している国もある。独立したくてできない地域もある。人々が安心して暮らせるために、現代では国家を作ることが必要であり、国連がその任務を担うべき時である。

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*今回第6号は<国家創設案>というテーマです。今後、次のようなマークを記します。

■世界の現状とニュース ◆テーマの解説・考察 ◇歴史的情報 ❖卵の会の主張 ~~~~~~~~~~~~~~~~~~

■11月13日、イスタンブールでクルド労働者党(PKK)の依頼を受けたとみられる女性が、テロを実行した。6名が死亡し、80人以上が負傷した。PKKは、クルド人の独立国家を目指している。民族的な国家の独立の動きは、多くの場合、テロや武装蜂起を生み出す。トルコは爆弾テロへの報復と見られる空爆作戦を行った。空爆はシリアとイラクのクルド人の拠点と思われる地域に対して行われた。19日深夜に始まりテロ組織の倉庫や司令部などを破壊した、とトルコ国防省は発表している。国家創設へのテロは、さらなる戦争に繋がる。国連が乗り出して、和平と治安維持と国家創設に関する審議を行う必要がある。

 クルド人は、トルコ、イラク、イラン、シリアにまたがって住んでいる。クルド語を話し、民族的統一性、文化と歴史を持っている。しかし、いまだ独立国家となっていない。約3000万人の人口である。独立を訴える組織があり、武装闘争を行っている。国家の創設にはどの国でも内乱を統一し、強力な軍事力を持つことが国家創設の歴史であった。武力を握るものが国家をつくるということが人類の歴史であった。ただ延々とした戦争状態につながり、多くの人の血が流されることもある。そのような戦争に終止符を打ちたいということが、国家創設規定の意図である。世界平和の組織たるべき国連が生まれた77年の歴史の中で、そのことが見逃されてきているところに国連が国家連合の組織であるという性格の限界があると言えるかもしれない。国連改革の中心となるテーマである。

■台湾有事の声は日本でも大きい。アメリカと中国の関係がそこに絡み、日本も他人事では済ませられない。しかし、重要なことは、台湾の独立国家として認めるかどうかということである。日本は正式には台湾を承認していない。しかし、実質的に承認し、二つの中国という立場をとっている。国連の国家に関する規定が、台湾問題も含めて明確にする必要がある。中国は一つの中国という立場を、強く主張し、アメリカも認めているが、アメリカは、「あいまいにする」という政策をとってきた。日本もあいまいにしている。しかし、それが紛争の火種になる可能性はある。

 1971年まで国連の常任理事国として国際社会に大きな影響を与えていた「中華民国(台湾)」は、国連から正式な国家と認められなくなってしまった。台湾の領有や、あるいは、地域の独立に関する決定権が、武力による実効支配によって実現していることは、戦争が不可避であることを意味している。

 「一つの中国」政策で、合法的な代表は中華人民共和国と主張している。2019年9月の時点で、中華民国を承認している国は、15ヵ国で、日本も認めていない。1972年の日中共同声明の日中国交正常化を受けて、日本と中華民国間の国交を断絶する措置が行われ、現在も日華間に国交がない。台湾には日本大使館や日本総領事館がない。代わりに利益代表部(日本台湾交流協会)を設置し、外交関係を維持している。ビザ発給、居留民保護、民間交流、人道問題などについての対話の窓口として設置される。

◆ クルド人は国家をつくろうとしている。新疆ウイグルは独立国家になったほうがいいのだろうか。ミャンマーは多くの市民は抑え込まれ、今の軍事政権が永続するのだろうか。ウクライナのロシアによる住民投票の地域は、ロシアに帰属するということで決着するのだろうか。台湾は国政的に国家として承認している国は15ヵ国しかない。国家独立の承認は外交的な承認に依存している状況を新しい国際法を作ることで、国連の国家創設規約を作る必要があるのではないだろうか。 武力による制圧・クーデターの可能性は世界中に広がっている。武力による現状変更はこれまでの歴史であった。その状況を平和裏の国家創設という原則を国際的に確立することが、世界から戦争をなくするためには必要である。

◆国連による国家創設の流れ

<国連規約を作成し、それに基づく国家承認の新しい流れを作る必要がある>

対象地域の確定 ⇒ 委員会の設立  ⇒  委員会による調査・審議  ⇒ 

PKO部隊の設置

という流れが必要である。国連国家創設規約はその前提となる。

◇歴史  ・国家を規定した条約としては、1933年のモンテビデオ条約がある。中南米を中心に国家というものが何かという規定が必要だと考えられて条約締結に至っている。①永久的住民、②明確な領域、③政府、④他国との関係を持つ能力、 の4点を要件としている。

◆ 国家創設規約

 国家がない時、秩序が乱れ、混乱状態になることが多い。国家ができて社会が秩序をもって人々が安心して平和に暮らせることは、ほとんどすべての人々の第一の希望である。混乱や、紛争を調停し、紛争の支配者が統治するということがあるが、その支配者が軍事的独裁者であるとき、悲惨な状況を生み出すこともある。紛争が継続するとき、戦渦は人々をどん底の悲惨に陥れることになる。戦争状態を終結させ、国家を創設し、それを平和裏に行うことが、国連の使命であるはずである。

 ウクライナ戦争でも、国家の創設、地域の帰属が、国連によって合理的に行われなければならないが、そのような規定や条約が存在しない。国家創設規約を策定することは、急務である。ウクライナ戦争においても、ロシアやウクライナの武力の勝利によると、紛争が再度起こり、戦争状況が繰り返される可能性が高い。和解条約に続いて国連ウクライナ治安維持部隊の創設が必要である。

◆国連の国家創設規約は、その後の軍事行動によって保障されなければ、有効性を持たない。従って国家創設規約は、強力な国連軍による治安維持活動を伴って実現できる。  

❖ 国家創設規約の主な内容は次のようなものになるのではないだろうか。国家創設の条件である

1 民族的対立の解消に関する和解案

2 宗教的対立の解消。原則として信教の自由を認める。国家は宗教に関与しない。

3 言語政策 排除の論理となってはならない。多くの地域での言語的差別が存在し、言語政策が国家創設を妨げている場合が多い。

4 行政の機能を持つ。財政的な平等など。基本的財政再作を策定、教育制度の明記

5 憲法 選挙や議会制度や国家構成・体制の明記。

6 歴史性、文化の尊重。

7 警察・治安を国連治安維持部隊と協力して行う。

8 武器・武装に関しては、特に規定しないが、国連の方針に従うこと。国連軍との治安維持、武装解除の要請、軍縮などに協力する。

❖ 国連への提案に至る流れ

 国家創設案の概略を作成 ⇒

 賛同する政党、団体、有志連合などをつのる   ⇒

 日本政府・政権与党に提起する ⇒ 

外務省もしくは有識者会議で現難を作成する ⇒ 世界各国の政府に賛同国を集め、国連共同提案国を募る  

⇒ 各国の意見を検討し、修正案を検討する ⇒ 紛争地の意見を聞く 

⇒ 共同提案国の間で案を確定する ⇒ 国連総会に提案する

⇒ 総会決議を経て、国連国家創設規約提示する ⇒ 世界各国に批准を求める

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