PKO活動を推進する

PKO活動を推進する メールマガジン  第10号   2022.12.23

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国連の活動の中で治安維持活動が多くの成果をもたらしている。いくつかの問題を孕みつつも、戦争をなくす国連の活動の中心となりえる制度である。ウクライナ戦争も国連がこれまで関与してこなかったことに戦争に発展した理由がある。そして、戦争を食い止めるためには、和平に基づくPKOは不可欠である。また、PKOを強力にする改革も不可欠である。

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*今回第10号は<PKO活動を推進する>というテーマです。

■世界の現状とニュース ◆テーマの解説・考察 ◇歴史的考察 ❖卵の会の主張

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■昨年、8月末、米軍はアフガニスタンから撤退した。アフガン政府軍はタリバンの5倍の兵力があった。30万人の軍隊である。ウクライナ軍が20万人、日本の自衛隊が実数21万人(定員24万人)であるのと比べてかなりの兵士数だといえる。アフガン治安部隊は、団結力組織力などにもろさがあった。米国は880億㌦(9兆7000億円)の資金を支援した。5月以降、戦わずに降伏するケースが相次いだ。

 タリバン制圧から1年4か月になろうとしている。アフガン北部のパンジシール州を拠点とする民族抵抗戦線(NRF)の勢力が活発になっている。過激派組織「イスラム国」(IS)系勢力のISホラサン州の勢力もある。いずれも武装闘争で制圧を目指している。アフガニスタンは、ソビエトのアフガン侵攻1979年12月24日―1989年2月15日の10年、アメリカのアフガニスタン紛争、アフガン戦争2001年10月7日~2021年8月末まで続く。40年の武装闘争を経験してきた。 現在のタリバン政権、パンジール州の民族抵抗戦線、ISホラサン州という3つの勢力はいずれも武装勢力で、和平は難しそうである。しかし、国連による調停の努力なくしてアフガニスタンに平穏は訪れないのではないだろうか。アフガニスタンの平安に関する新たな提起が必要なのではないだろうか。国連の「積極的な」調停とPKOが望まれる。

■ パレスチナは、イスラエルの建国以来、絶えず国連が関与してきた。最初のPKOは、スエズ侵攻から始まっている。イギリスとフランスがスエズを制圧し、撤退決議が出されたが、両国は常任理事国として拒否権を発動した。

 現在、シリア、イエメン、レバノンでは戦争が頻発し続けている。イラクもイランもそれに関連して戦渦に巻き込まれかねない。アメリカ、ロシア、イギリス、フランスが関与することで戦争は拡大しかねない地域である。

 2021年、5月14日、イスラエル軍はパレスチナ自治区ガザに地上から砲撃を開始した。ハマスが実効支配している。この地域の平和を実現することなくして、イランの核兵器開発を停止、イスラエルの核兵器の廃絶に、イランもイスラエルも応じることはないのではないだろうか。平和の実現は核兵器廃絶の条件である。

■2022年12月13~15日、ワシントンで米国・アフリカ首脳会議が開かれた。アフリカは、かつてイギリスとフランスが植民地進出を行い、世界大戦の原因を作り、戦後も新植民地主義の下、支配を続けてきた。近年、中国が進出し、ロシアの進出も目立ってきている。独立への機運も大きく相次いで独立を実現しているが、紛争、戦争も絶えない。

 アフリカ連合(AU)の役割も大きくなってきている。AUはG20の常任メンバーになるという動きもある。日本政府も、「アフリカ開発会議TICAD」の動きを通じてアフリカへの関与を進めている。しかしアフリカの現状は、食糧不足や貧困の課題もある。政情不安定、クーデター、内乱、民族紛争、戦争が多発している。 その中で、武器輸出が悲惨な状況をもたらしていることも注目しておかなければならない。アフリカへの兵器輸入は、ロシアが44%でアルジェリア、アンゴラをはじめ多くの国に武器供与を行っている。次いで米国が17%、中国が10%である。武器取引の規制を国連の軍縮局が担当して行うシステムが望まれる。スーダンや中央アフリカ、マリなどでは、ロシア軍と関連を持つ民間軍事会社のワグネルが活動している。国連のPKOの介入が必須である。 ブルキナファソでは、今年9月30日、クーデターを主導したトラオレ大尉が大統領に就任した。ダミバ大統領を追放し、イスラム過激派のテロとの戦いを進めている。ロシアの関与が進む。「ロシアとブルキナファソの協力万歳」「フランスは出て行け」と叫ぶデモも起こっている。西アフリカでは、20年にマリ、21年にギニア、22年にブルキナファソで、クーデターが相次いて起こっている。

◇2013年には南スーダンで1週間に千人を超す死者が発生し、10万人が難民となった。国連は南スーダン派遣団(UNMISS)を組織し、治安維持活動PKOを行った。1万3800人にのぼる。日本も自衛隊を派遣し、施設部隊司令部要員を参加させている。

◇中東でイスラエルを中心にユダヤ人の国を建国した。レバノンはもともとキリスト教徒を中心に建国するという意図のもとに出来た国である。現在レバノンはイスラム教徒の主な宗派が5宗派、キリスト教も10宗派以上が混在する多宗派国家になっている。1975年にイスラム教徒とキリスト教徒が衝突して15年間に及ぶ内戦に突入した。

レバノンを本拠とするシーア派の過激派ヒズボラは、82年に出来ている。イスラエルがレバノンに侵攻して戦争に発展した時、イランが革命防衛隊を派遣した。そしてその時民兵組織「ヒズボラ」を創設した。

◆ PKO活動の無力を訴える声も大きいし、犠牲も大きい。効果にも限定的な側面がある。国連治安維持局の活動を拡大する必要がある。まず、戦争予防のための積極的な調査活動をすることが重要である。

次のような活動が必要だと思われる。

1 世界の紛争・戦闘地域の確認したうえで、国連の課題としてその解決のための委員会を設置する

2 当事国と治安維持軍の戦地に向けた話し合いを行う。

3 治安維持活動のための資金拠出の方策を検討する

4 独立に問題がある地域の確認を行う。

◆ PKO活動内容

治安維持活動の役割は、(1)武装解除の監視、(2)地域の安全確保、(3)民主的な体制のための選挙などの実施、(4)行政の支援、(5)経済的なインフラ支援お補助、(6)人道的救援の支援、(7)憲法制定や国家創設の支援、などが含まれる。その地域のPKO事務局がその内容を企画し、実施する。 ただ、当事国の要請がないとPKOは始められない。また、正当防衛以外に武器使用は禁じられているので、ときとして現地住民を見殺しにしてしまうこともある。対策を講じる必要がある。改革が必要である。

❖ 治安維持活動は、国連憲章にはない。1956年、ハマーショルド事務総長やカナダのピアソン外務大臣の努力によって創設された。しかし、その原則の中に不十分さが残る。

1.武器使用は自衛にのみ認められ、現地の人が殺戮されようと武器を使用することができない。

 2.予算の枠組みがない。割り当てはあるが、関係国が拠出する。

 3.PKOの設置は当事者の要請が必要である。従って、必要と思われる地域でも、PKOが設置されないことが多い。そして戦争状態になる。国連の積極的な調査活動から、積極的な当事者への呼びかけと問い合わせを行うということが肝要ではないだろうか。

 

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【卵の会 活動ニュース】 ❖①卵の会のメンバーと賛同者を募集いたと思います。その連絡追って行いたいと思います。②また、国連改革案をまとめて、署名活動を行いたいとおもいます。

              

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