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紛争・危機

 メールマガジン  第24号   2023.10.7 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 戦争の危機が増大しているニュースが多い。ウクライナをはじめ、ナゴルノカバラフ、西アフリカ諸国のクーデター、スーダン、台湾情勢、ハイチ、コソボなど。同時に、核戦争突入は現実化してきている!危機だ! ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ◆今年は、世界の分断が大きな経済的影響をもたらしていたが、分断は外交的な分断となり、さらに戦争への危機を孕んだものに展開している。武器支援で武器は高度化し、劣化ウラン弾、それを搭載できる戦車、クラスター爆弾と被害は拡大する一方である。遠距離攻撃も行われている。特殊部隊の作戦も遠方まで行われるようになっている。北朝鮮とロシアの接近など、世界中への軍事的広がりも大きくなっている。 ❖様々な紛争を解決するためにも、外交に頼るのではなく、国連の役割が必要で、政府は紛争解決に向けて国連に働きかけるべきである。 ■ナゴルノカラバフ共和国が消滅した。9月19日、アゼルバイジャン軍が攻撃を開始し、アルメニア人住民は現地を離脱した。約12万人である。アルメニアは23日、国連に監視団の即時派遣を要請した。現地では、食糧不足と迫害の不安がある。懸念されるのは、「民族浄化」である。民族問題は、大きな紛争の種となる。2020年からロシアが仲介に乗り出し、平和維持部隊を駐留させている。このような体制自体が国連の怠惰と結びついているという側面がある。平和維持部隊の活動は、国連の任務であるべきである。そうすれは、アゼルバイジャンは軍を侵攻させることを躊躇するはずである。 ■平和維持部隊を国連ではなく、NATOが行っている例がある。コソボである。そして、今、コソボで戦争の危機が生じている。多数派のアルバニア系住民と少数派のセルビア系住民の対立が先鋭化している。NATOは10月1日コソボに駐留する治安部隊の4500人の増強を行おうとしている。コソボは2008年に独立を宣言している。セルビアは独立を認めていない。国家の独立に関する国連の規約が必要である。国家の独立を承認することは、多くの未承認国家にとって重要である。国家承認を国連の役割にすべきである。 ■中東情勢が変化している。イスラエルを敵視するアラブ諸国という結束が切れてきている。イランと

市民の声を国連に

第18号   2023.3.25 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 市民の声を反映するにはどうすればいいのか。民主主義は選挙以外の方法もある。デモ、集会、請願書、陳情書、評議会などがある。国連に人々の声を届けるにも、壁がある。国家が国際社会のメンバーであるということは国際法の原則でもあり、そこに国連の限界と機能不全の根本的な原因がある。 民主主義の危機、戦争の多発、軍事依存増大、国連の機能停止、経済の分断とインフレ、それに加えて金融危機がやってきている。多くの人が集まって、「戦争停止・戦争をする支援の停止・和平の努力」の声をあげたいと思います。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ■世界の現状とニュース ◆テーマの解説・考察 ◇歴史的考察 ❖卵の会の主張 ~~~~~~~~~~~~~~~~~~ ◇市民の声を国政に反映させるということは、市民社会を基盤とした近代国家の基礎であった。それが民主主義的な国民国家の形成につながる。2011年のアラブの春は、中東での民衆の声の反映で新しい時代を予感させるものであったが、ほとんどが失敗してしまった。中東アラブ世界に民主主義的な政権の樹立はほとんど実現できていない。シリアではアサド政権の圧政と、ISの台頭があった。アメリカの影響を受けた反政府勢力とロシアの影響を受けたアサド政権が戦争を繰り返している。 ◇イラク戦争から今年の3月20日で20年を迎えた。戦争勃発の時の米国務長官パウエルの首席補佐官だったウィルカーソン氏は「イラクへの侵攻は、21世紀に進めた米国の作戦で最大の失敗だった」と述べている。強権的な政治体制の武力攻撃では民主主義を獲得することはできなかった。その後、イラクでは汚職がはびこった。政府への批判、激しい抗議活動が続いた。水質汚染や深刻な干ばつなどがあり、行政は停滞した。失業率は35%であった。禁酒例が出されたが、闇市場が広がった。 ■ウクライナへの武器支援は、アメリカでもフランス、その他のEU諸国などでも顕著になっている。社会的状況に敏感な市民は、インフレや財政難に直面した時、外国に武器を支援する必要があるのだろうかという疑問を持つ。侵攻を行ったロシアを非難する気持ちのみが武器支援を実現してきた。自由を守るとか、民主主義体制を守るということが、ウクライナの勝利によってもたらさ

武器供与・武器輸出より 軍縮

国連改革 NGO 卵の会 メールマガジン  第17号   2023.3.16 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 戦争をする主体は近代国家である。戦争を起こすものは武器である。戦争を拡大し、長期化させるものは、武器供与・武器輸出である。武器をなくすこと、減らすこと、監理することが戦争終結への道である。 ~~~~~~~~~~~~~~ ■(中国のロシアへの武器供与)欧米各国も、ウクライナも、中国がロシアに武器供与するかどうかに神経をとがらせている。中国が武器供与すれば、戦争の規模が拡大し、ウクライナもNATOも新しい危機を迎える。ドイツのシュピーゲル紙は中国企業がロシア軍に100機規模のドローンを売却する計画だと報じている。 ■(欧米側の武器供与) アメリカのウクライナ支援は1年間で1130億㌦(約15兆円)にのぼる。アメリカの中に支援疲弊が出てきている。マジョリー・テーラー・グリーン下院議員はマット・ゲーツ下院議員らとウクライナ支援の打ち切りを求める「ウクライナ疲弊決議案」を提出した。 日本は、ウクライナに対し、2月末に55億㌦の財政支援をしている。また、地雷の探知機や除去機を提供している。 ウクライナは開戦前に、2500両の装甲車両を持っていた。それらがほとんど損耗している。欧米各国の戦車供与が話題になっているのはその為でもある。供与される兵器は高度化している。ミサイル迎撃システムや戦闘機などが検討され始めている。さらに国際法で禁止されているクラスター爆弾もウクライナは要請している。 ■武器供与は、武器支援であり、無料の武器輸出である。イエレン財務長官は「我々の支援は慈善事業ではなく、世界の安全保障と民主主義への投資だ」と語りかけた。歴史の錯誤ではないだろうか。アメリカ支配を広げるために、安全保障や民主主義を持ち出しているだけとも言えそうである。ロシアの侵攻と戦争行為を止めることは重要であるが、ウクライナへの支援が反戦争であるということは言えない。国民の多大の犠牲の上に戦争継続をして、和平への努力は全く見られないこと、武器供与を呼びかけることに政権の努力は限定されてしまっている。 ◆2月24日の国連安保理の会合を開催している。欧米側と中露などで意見は対立している。中露は欧米によるウクライナへの武器供与が事態を悪化させていると主張して

未承認国家問題・国家を創設することの意義

国連改革 NGO 卵の会 メールマガジン  第16号   2023.2.27 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 国家がないとそこに住む人は悲惨な状態になる。ソマリアやブルキナファソなど紛争が絶えない。今日でも国家が市民社会に根差さず、武力で作られている。ミャンマーやアフガニスタンなどで私たちは目の前にみている。既にある国家の中で、ある一定の地域が国家の一部であったり、国家と対立し、独立を望んだりすることもある。台湾や新疆ウイグル、クルド人の地区などがその例といえる。大きな帝国が崩壊した後、民族紛争が絶えない地域がある。セルビア、クロアチア、ボスニア、コソボなどがそうであった。また、ジョージアの南オセチアやアブハジアなどである。ウクライナのクリミアや沿ドニエストル、ルガンスク、ドネツクなどがウ 国連は国家創設、国家承認の手続きや条件を国連の規約として作ることが急務である。 *今回第16号は< 未承認国家問題・国家を創設することの意義 >というテーマです。 ■世界の現状とニュース ◆テーマの解説・考察 ◇歴史的考察 ❖卵の会の主張 ~~~~~~~~~~~~~~~~~~ ◆「武力による現状変更は許されない。」と日本政府は訴える。しかし、歴史は武力によってつくられてきたのが現実である。国家は、武力によってつくられてきたし、今も変わらない。ただ、国連ができて、国連憲章の下、武力行使は否定されている。しかし、同時に武力は拡大する一方で、どの国も武力で国家を守ろうとしている。法律と言論は無力である。しかし、今、武力によらない国家創設の在り方を条約として提示するべき時ではないだろうか。人類は、戦争の危機を目前にして、まだ、その歩みを始めていないのである。制裁で撤退を促そうとしているが、効果は望めない。審議委員会を組織し、和平への努力が必要である。   ◆ 2014年のことである。ロシアがクリミアに侵攻し、クリミア半島でロシアへの編入の是非を問う住民投票を実施した。米政府はそのことを制裁の対象とした。EU、日本と連携して制裁を課すという方針をとった。ロシアは安全保障会議を招集した。住民投票や選挙が国家の政策に絡んでいるという可能性があると紛争の一因となる。 昨年、ロシアは東南部4州で住民投票を行った。2014年のクリミアの場合も、昨年のウクライナ東部4州

国連はどうすれば機能できるか

国連はどうすれば機能できるか メールマガジン  第15号   2023.2.13 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 国連は機能していない。世界は軍事対立の様相を深めている。同盟が増え、共同軍事訓練が頻繁に行われ強化されている。武器が高度化し、核兵器をはじめ、多くの先端兵器が開発される中で、軍事増強して自国を守れるのだろうか。同盟や共同軍事訓練で自国を守れるのだろうか。抑止力に頼ることは安全保障になるのだろうか。 むしろ戦争への危機が大きくなっているだけではないだろうか。方向転換が必要である。国際的な平和機関を構築することが唯一の平和への道ではないだろうか。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ *今回第15号は< 国連はどうすれば機能できるか >というテーマです。 ■世界の現状とニュース ◆テーマの解説・考察 ◇歴史的考察 ❖卵の会の主張 ~~~~~~~~~~~~~~~~~~ ■オーストラリア空軍が主催し、米、英、独、日など17カ国が参加する多国籍軍事演習「ピッチブラック」が昨年、8月19日から9月8日まで行われた。戦闘機による戦闘を想定した大規模訓練である。 ■ EUは、元来、通商や競争政策などを中心とした経済的な共同体である。プーチン大統領もウクライナがEU加盟申請をしたとき、経済的な共同体で脅威ではないとした。しかし、今、EUは防衛・安全保障分野の統合を徐々に深めている。兵器の開発や共同調達や他国の軍事訓練に着手してきている。EU設立の意図には、ヨーロッパを戦場にしないという理想もあったが、今日では別の国家間の対立に直面している。ウクライナ向け軍事訓練をポーランドとドイツで昨年11月から始めた。2年間で1万5000人規模を対象とする。アフリカのニジェールの軍事訓練も実施している。EUは、不整合と組織の複雑さが、制度的欠陥となっているといえる。組織的に2重国家となり主権すらもはっきりしない中で、加盟国の利害で動く共同体となっている。税制や財政の課題も山積している。混乱と戦争時の不整合の危険がないとは言えない。「何のためのEUか?」という原点の問いかけが必要である。 ❖ EUが軍事機構となることは、EUの創設時にEU軍という考えはあったが、EUの理想の中にはヨーロッパを戦場にしない

和平に向けて

ウクライナ戦争は、終わりが見えない。多くの国家が戦争を拡大する方向に動いている。ただ、大半の人々は終結を願っている。その声が、戦争を終わらせるように組織化することが必要である。そのことが、我々が、そして多くの人々が自らを救う道である。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ *今回第14号は< ウクライナ戦争の和平に向けて >というテーマです。 ■世界の現状とニュース  ◆テーマの解説・考察 ◇歴史的考察 ❖卵の会の主張 ~~~~~~~~~~~~~~~~~~ ■ <和平の可能性> ウクライナ侵攻の当初から、ウクライナの政権、ロシアの政権、欧米諸国、国連などに、停戦への努力は見られない。国連の安全保障理事会はロシアへの非案決議案を出したが、ロシアの拒否権で否決になった。そもそも非難決議を出すということ自体が和平への動きにはつながらない。そのあと総会での非難決議は141ヵ国が賛成し、ロシア中国などの反対と棄権、無投票が52ヵ国にのぼった。22年11月17日、マクロン大統領が「平和と戦争終結を求めなければならないとして、停戦協議を呼びかける考えを表明したが、23年1月末には戦闘機の供与を検討することなどに見られるように一貫した停戦への姿勢は見られない。 ゼレンスキー政権も、プーチン政権も、戦争での勝利しか念頭にない。戦争継続を強調し続けている。ただ、識者の中には「休戦協定」という形が現実的ではないかという見方が出てきている。ロシア側もウクライナ側も完全勝利には何年もかかりそうである。戦争による犠牲も双方に大きすぎる。1953年の朝鮮戦争のような休戦協定のような形での休戦が現実的かもしえない。とりあえずの休戦案は有効かもしれない。昨年9月のロシアの部分動員令で何千人ものロシア人男性が国外に脱出した。欧米諸国に支援疲れも出てきて、食糧危機、エネルギー危機、気候変動への悪影響など経済的打撃と社会情勢の疲弊がすべての国の負担となってきている。  ウクライナ政府の対応は、反ロシアのプロパガンダに終始している。核戦争の危険性を「はったり」とみなし、ロシアに勝つことと復讐心が支配しているように思える。ウクライナの政権には、経済的な世界経済への影響、食糧危機などの問題などを考慮するゆとりがないようである。従って、戦争終結への模索はなく、友好国の同情を得ることに終始して

新しい国際関係

国連改革 NGO 卵の会 メールマガジン  第13号   2023.1.23 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ウクライナ戦争は終わりが見えないまま、年を越しました。世界の分断は恒常化しようとしている。地域的な戦争の火種は未解決のまま多い。ミャンマーやパレスチナ、イエメン、アフガニスタン、ブルキナファソ、ジンバブエなどでは抑圧と紛争が続いている。原子爆弾の使用の危険性も孕んだままの状況だ。  戦争が広がらないこと、勃発しないこと、核使用がないことを祈りながら、永続的な世界平和への一歩を踏み出したいと思います。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ *今回第13号は< 新しい国際関係 >というテーマです。 ■世界の現状とニュース ◆テーマの解説・考察 ◇歴史的考察 ❖卵の会の主張 ~~~~~~~~~~~~~~~~~~ ■世界の勢力は、ウクライナ侵攻のロシアに対する国連での非難決議において鮮明に表れた。西側陣営(G7、EU、豪州など)、中立パワー(インドネシア、インド、ブラジル、メキシコ、サウジなど)、西側への対抗勢力(中国、ロシア、イランなど)。単にグループ化しているのではなく、外交的な関係とそれぞれの論理を持っている。ロシア制裁・ウクライナ支援は欧米中心の国際関係で是認されても、世界の国がそれに同調しているわけではない。新しい外交構造が生み出されている。反米の国も世界中に多く、西アフリカ諸国を中心に反フランスの国も多い。植民地主義、新植民地主義の残存がある。中国、インド、トルコ、南米諸国などの立ち位置も微妙で、それぞれ独自の主導権を持とうとしている。 昨年11月15日・16日のG20のバリ島での首脳会議では、ロシア非難の宣言を打ち出した。議長国のインドネシアとインドの世界経済を見据えた外交努力からできた宣言である。食糧やエネルギー危機などへの影響と戦争がもたらす世界への悪影響がロシアへの不満が強くなったものと言える。ただ、具体的なロシアへの制裁には至っていない。また、和平への努力もないという点では、ただの非難声明に過ぎず、対策は食糧問題などへの対処にとどまる。今後、ロシアとウクライナが抱える問題を根本的に解決する和平案に至るような提案を望みたいところである。 ■ 昨年、インドは、ロシアからの石油の輸入を11倍にし、日量94万